日産「下請法違反」で公取が勧告!そのタイミングが持つ“重大な意味”とは?Photo:Diamond

2024年の春闘での賃上げは、昨年の実績を上回る可能性が高い。連合は、3月13日に集中回答日を迎えた今春闘の賃上げ率について、1991年以来33年ぶりに5%を超えたと明らかにした。その約1週間前に、公正取引委員会が、日産自動車に対して下請法違反の勧告をしたことは重要な意味を持つ。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

賃上げ率が33年ぶりに5%を超えた

 連合は、3月13日に集中回答日を迎えた今春闘について、定期昇給分とベースアップ相当分を合わせた賃上げ額は平均で月額1万6469円、率にして5.28%となり、1991年以来、33年ぶりに5%を超えたと明らかにした。去年の同じ時期と比較しても賃上げ額は4625円、率にして1.48ポイント上回った。

 初任給を引き上げ、優秀な学生の確保を目指す企業も増えている。人手不足の影響もあり、全体としてわが国の賃上げ期待は高まっている。

 賃上げの動きは大企業だけではなく、中小企業にも広がりを見せつつある。政府は経済界に、中小企業が適正な利潤(収益)を確保し、食料品などの値上がりペース以上の賃上げを実現できるよう要請を強めた。

 翻って3月7日、公正取引委員会が、日産自動車に勧告を行ったことにも注目したい。自動車産業は、長期停滞に陥ったわが国経済を下支えした最重要産業だ。下請け、孫請け企業を抱え、裾野の広い産業構造のトップに君臨する大手完成車メーカーに対する勧告は、中小企業の賃上げに対する環境支援とも考えられる。

 加えて、非正規雇用者の賃上げ機運も少しずつ高まっている。中小企業や非正規雇用者の賃上げ、食料品や日用品の物価上昇と同等かそれ以上の賃上げを実現することが、日本が“失われた30年”から脱却するのに必要不可欠な要件だ。